8月15日は長崎では精霊流しが行われる日である。
まぁ、さだまさしの代表曲でもあるので名前だけはご存じの方も多いだろう。
初盆を迎えた家や町内で精霊船を作り、亡くなった人を極楽へみんなで送る行事である。
ウチも昨年祖母が亡くなったので船を出すことになった。
私の郷の島原では町内で船を出すのがしきたりだ。
今年はウチを含め町内で5件の初盆のお宅があり、合同で船を出しての送りとなった。
島原の精霊流しは長崎市内の精霊流しとは少し違う。
長崎の精霊船は船に台車をつけた「曳き船」が主流なのだが、島原では肩に担ぐタイプである。
基本は底板をベニヤ板で作り、周りを麦わらを束ねたもので立ち上げる「わらの船」だ。
昔は底板の部分は竹を格子状に組んでその上に「むしろ」を敷いていたらしいのだが、最近はむしろが手に入りにくくなったのでベニヤ板にしているそうだ。(20年くらい前に祖父の船を出したときには、まだむしろで作っていた記憶がある)
何より違うのは船に提げる提灯であろう。
長崎では楕円形のよく見られる提灯を提げるが、島原の船は「切り子灯籠」という独特のものを提げる。
細い木で組まれた25cmほどの四角い灯籠に長い短冊みたいなヒラヒラがついているものだ。(上の写真を参照)
また、長崎の精霊流しでは鐘や爆竹がとにかく賑やかなのだが、島原はそれと比べるとかなりおとなしい。
「ナマイドー」というかけ声とともに町内を廻り、最後はちゃんと海に浮かべるのだ。(正確なところはわからないが、ナマイドーは「南無阿弥陀仏」がなまったものだと聞いたことがある)
以前はそのまま流していたようなのだが、現在は海を汚さないために後から回収している。
暗いところでケータイで撮ったものだからはっきり写ってないのが残念なのだが、全部の灯籠に灯が入るとけっこうきれいだったりする。
故人を偲びながらみんなで船を送る。
長崎の精霊流しはそれなりに賑やかでありながら、実は「故人への未練などの思いを切る」寂しい行事なのである。